お転婆姫は命がけ。兄を訪ねて三千里！

　自らが承認した法案にもかかわらず、アイリーンは内容を深く理解することができておらず、翌日、不足していた睡眠を補い、昼近くになって退屈したアイゼンハイムがベッドの上にポスンと飛び乗り、ペロリとアイリーンの頬を舐めるまで爆睡していたアイリーンは、目を覚まして陽の高さに断末魔の叫びのような声を上げた。
　その絶叫に驚いたアイゼンハイムは、目を見開いてアイリーンを見つめ、ラフカディオは海の女神の神殿に届くほどの高い遠吠えをした。
　当然の事ながら、驚いたローズマリーがアイリーンの寝室にダッシュで駆けつけると共に、招かざる客の到来か、はたまた、刺客かと警備隊長でもあるアルフレッドも庭側からアイリーンの寝室の窓へと駆けつけた。
　しかし、窓はしっかりと閉まり、血痕も無かったので、アルフレッドは窓を開けることなくベランダで待機した。