お転婆姫は命がけ。兄を訪ねて三千里!
もし、相思相愛になった相手が偽物でも代用品でもないとカルヴァドスが知ってしまったら、十年もの間、姫巫女を想い続けたカルヴァドスはきっと欲望に負けてしまうだろう。そして、アイリーンが望まなくても、ダリウス王子との結婚を破棄するべく、何らかの手を考えようとするだろう。
万が一にも、カルヴァドスと愛し合うようなことになれば、王族同士の結婚で求められる花嫁の貞操をアイリーンは失うことになる。そして、その不名誉な事実は、初夜の晩に嫌悪するダリウス王子によって暴かれることになる。そうなれば、きっとパレマキリアはデロスが約束を反故にしたと言って、今度こそ、デロスを本気で攻撃し、民の命だけでなく、ふしだらな娘を嫁がせた不名誉な国王という汚名を着せられた父王の命を奪う口実を与えることになってしまう。そして、婚約者とすら口づけを交わしたことのなかったアイリーンの相手として疑われるのは、長い間、病に臥してアイリーンとしか面会をしなかった兄のウィリアムということになる。そうなれば、病から快癒したとしても、実の妹と愛し合った神をも恐れぬ罪人として、パレマキリアに兄を廃嫡させ、王位継承権を破棄脱させる機会を与えることになってしまう。
しかし、あの嫉妬深いダリウス王子の事だから、表向き兄のウィリアムを失脚させるためにアイリーンの相手が兄王子だったと言いふらしたとしても、最終的には、本当の相手が誰なのかをしつこく問い詰められるだろう。
あの婚約を約束した日には、口づけさえ満足にできなかったアイリーンが、なんどとなくカルヴァドスと口づけを交わし、口づけるという行為そのものをよく知り、慣れてしまった以上、アイリーンに口づけを交わし、愛し合う相手が居たことは言葉で否定しても、それが嘘でしかないことをアイリーンの体が証明してしまう。
もし、アイリーンがカルヴァドスのことを愛しているとダリウス王子に知れれば、ダリウス王子はどのような汚い手を使ってでも、必ずカルヴァドスの事を捕まえ、危害を加えるどころか、きっとカルヴァドスの命を奪うだろう。
デロスを離れて以来、カルヴァドスがどれほど面倒見がよく、クルーに慕われているかを知っているから、カルヴァドスに船を下りるような決断や、自分の命を危険に曝すようなことは決してして欲しくなかった。
アイリーンは持ってきた銀貨を全てと、チョーカーをつけるために外していたルビーのネックレースをシルクのハンカチに包み、封筒に同封した。
しっかりと封をすると、手紙をハンドバッグにしまい、何事もなかったように振舞いながら、タオルで髪の毛を拭いて乾かした。
万が一にも、カルヴァドスと愛し合うようなことになれば、王族同士の結婚で求められる花嫁の貞操をアイリーンは失うことになる。そして、その不名誉な事実は、初夜の晩に嫌悪するダリウス王子によって暴かれることになる。そうなれば、きっとパレマキリアはデロスが約束を反故にしたと言って、今度こそ、デロスを本気で攻撃し、民の命だけでなく、ふしだらな娘を嫁がせた不名誉な国王という汚名を着せられた父王の命を奪う口実を与えることになってしまう。そして、婚約者とすら口づけを交わしたことのなかったアイリーンの相手として疑われるのは、長い間、病に臥してアイリーンとしか面会をしなかった兄のウィリアムということになる。そうなれば、病から快癒したとしても、実の妹と愛し合った神をも恐れぬ罪人として、パレマキリアに兄を廃嫡させ、王位継承権を破棄脱させる機会を与えることになってしまう。
しかし、あの嫉妬深いダリウス王子の事だから、表向き兄のウィリアムを失脚させるためにアイリーンの相手が兄王子だったと言いふらしたとしても、最終的には、本当の相手が誰なのかをしつこく問い詰められるだろう。
あの婚約を約束した日には、口づけさえ満足にできなかったアイリーンが、なんどとなくカルヴァドスと口づけを交わし、口づけるという行為そのものをよく知り、慣れてしまった以上、アイリーンに口づけを交わし、愛し合う相手が居たことは言葉で否定しても、それが嘘でしかないことをアイリーンの体が証明してしまう。
もし、アイリーンがカルヴァドスのことを愛しているとダリウス王子に知れれば、ダリウス王子はどのような汚い手を使ってでも、必ずカルヴァドスの事を捕まえ、危害を加えるどころか、きっとカルヴァドスの命を奪うだろう。
デロスを離れて以来、カルヴァドスがどれほど面倒見がよく、クルーに慕われているかを知っているから、カルヴァドスに船を下りるような決断や、自分の命を危険に曝すようなことは決してして欲しくなかった。
アイリーンは持ってきた銀貨を全てと、チョーカーをつけるために外していたルビーのネックレースをシルクのハンカチに包み、封筒に同封した。
しっかりと封をすると、手紙をハンドバッグにしまい、何事もなかったように振舞いながら、タオルで髪の毛を拭いて乾かした。