お転婆姫は命がけ。兄を訪ねて三千里!
「アイリ・・・・・・」
突然、背後から声をかけられ、アイリーンは飛び上がりそうに驚き、危うく書き終えた手紙の署名のインクを滲ませてしまうところだった。
「もう、フレド! 驚かせないで、もう少しでせっかく書き終えたエイゼンシュタイン国王陛下宛の手紙の署名を書き損じるところだったわ」
アイリーンが言うと、窓際でアイゼンハイムとラフカディオの二匹が許可なくアルフレッドが室内に入れないように睨みを利かせていた。
「まったく、このお二人さんは、いつまでたっても侵入者扱いしてすんなり部屋に入れてくれないのは何故かな?」
アルフレッドの言葉に、アイリーンは心の中で『それは、あなたが愛しているのが私ではなく、ローズマリーだからよ』と思ったが、口には出さなかった。
「そうね。来るとわかっていたらちゃんと二人に伝えておくのに、予告なしに来るものは、誰であっても、お父様とお兄様以外は、全員排除対象なのよ」
アイリーンは当然というように言った。
「それが、婚約者に対する対応とは、悲しいものですね・・・・・・」
アルフレッドは言ったが、アイリーンは相手にしなかった。
「仕方がないわ。二人が生まれた時から一緒にいるのはお父様とお兄様だけ。二人にとって、家族は私の他はお父様とお兄様だけなんですもの。婚約者は、ライバルっていうところかしら?」
「ライバルか・・・・・・。手足はもがないでくれよ。これでも、アイリの専属ボディーガードなんだから」
アルフレッドが言うと、二匹がアイリーンを振り向いた。
アイリーンが頷くと、侵入を阻んでいた二匹はスッと移動してアルフレッドを部屋に入れてくれた。
「実は、いやな話が上がってきている」
アルフレッドは言うと、アイリーンのそばに歩み寄った。
「これ以上嫌な話って・・・・・・」
アイリーンは聞きたくないと耳を塞ぎたかったが、そう言う訳にもいかないので、アルフレッドの言葉に耳を傾けた。
「偵察隊が、敵陣の天幕に王族旗が上がっているのを見たというんだ」
敵陣に王族旗が上げられるということは、そこに実際に王族の誰かが駐留していることを意味する。
旗の模様で誰が駐留しているかは判別がつくが、これが国王であれば王旗が上がる。そして、王旗が上がるとなれば、それは本格的に侵攻するという意思表示でもある。
「まさか、本気で攻め込んでくるつもりなの?」
「わからない。ただ、何らかの大きな動きが一両日中にある可能性があるから、夜を忍んでやってきたんだ」
アルフレッドは言うと、心配そうにアイリーンの事を見つめた。
「ありがとうフレド。明日の朝議の時までに、誰の旗か解かったら教えて頂戴」
アイリーンは弱音を吐くでもなく、アルフレッドに甘えるでなく、要件を伝えるとアルフレッドから目をそらした。
「了解! おやすみ、アイリ」
「おやすみなさい、フレド」
アイリーンの答えを待ってアルフレッドは臣下の礼をとると、再び窓から外へと出て行った。
突然、背後から声をかけられ、アイリーンは飛び上がりそうに驚き、危うく書き終えた手紙の署名のインクを滲ませてしまうところだった。
「もう、フレド! 驚かせないで、もう少しでせっかく書き終えたエイゼンシュタイン国王陛下宛の手紙の署名を書き損じるところだったわ」
アイリーンが言うと、窓際でアイゼンハイムとラフカディオの二匹が許可なくアルフレッドが室内に入れないように睨みを利かせていた。
「まったく、このお二人さんは、いつまでたっても侵入者扱いしてすんなり部屋に入れてくれないのは何故かな?」
アルフレッドの言葉に、アイリーンは心の中で『それは、あなたが愛しているのが私ではなく、ローズマリーだからよ』と思ったが、口には出さなかった。
「そうね。来るとわかっていたらちゃんと二人に伝えておくのに、予告なしに来るものは、誰であっても、お父様とお兄様以外は、全員排除対象なのよ」
アイリーンは当然というように言った。
「それが、婚約者に対する対応とは、悲しいものですね・・・・・・」
アルフレッドは言ったが、アイリーンは相手にしなかった。
「仕方がないわ。二人が生まれた時から一緒にいるのはお父様とお兄様だけ。二人にとって、家族は私の他はお父様とお兄様だけなんですもの。婚約者は、ライバルっていうところかしら?」
「ライバルか・・・・・・。手足はもがないでくれよ。これでも、アイリの専属ボディーガードなんだから」
アルフレッドが言うと、二匹がアイリーンを振り向いた。
アイリーンが頷くと、侵入を阻んでいた二匹はスッと移動してアルフレッドを部屋に入れてくれた。
「実は、いやな話が上がってきている」
アルフレッドは言うと、アイリーンのそばに歩み寄った。
「これ以上嫌な話って・・・・・・」
アイリーンは聞きたくないと耳を塞ぎたかったが、そう言う訳にもいかないので、アルフレッドの言葉に耳を傾けた。
「偵察隊が、敵陣の天幕に王族旗が上がっているのを見たというんだ」
敵陣に王族旗が上げられるということは、そこに実際に王族の誰かが駐留していることを意味する。
旗の模様で誰が駐留しているかは判別がつくが、これが国王であれば王旗が上がる。そして、王旗が上がるとなれば、それは本格的に侵攻するという意思表示でもある。
「まさか、本気で攻め込んでくるつもりなの?」
「わからない。ただ、何らかの大きな動きが一両日中にある可能性があるから、夜を忍んでやってきたんだ」
アルフレッドは言うと、心配そうにアイリーンの事を見つめた。
「ありがとうフレド。明日の朝議の時までに、誰の旗か解かったら教えて頂戴」
アイリーンは弱音を吐くでもなく、アルフレッドに甘えるでなく、要件を伝えるとアルフレッドから目をそらした。
「了解! おやすみ、アイリ」
「おやすみなさい、フレド」
アイリーンの答えを待ってアルフレッドは臣下の礼をとると、再び窓から外へと出て行った。