お転婆姫は命がけ。兄を訪ねて三千里!
その頃、アルフレッドは船乗りの多くが集まる酒場を回って、船乗り達の様子を確認してから次へと移った。
(・・・・・・・・レッド・ライオンならば、まともな船乗りが集まってる。ゴールデン・アップルはダメだな、危険な連中が多い。イエロー・ドラゴンは止めた方が無難だな。他にも、後一ヶ所くらいは見つけておきたかったんだが・・・・・・・・)
アルフレッドは、更に幾つかの酒場を巡り終え、アイリーンに勧める酒場のリストにグリーンズゲートを追加した。
長い付き合いだけ有り、どれほどアイリーンが頑固で言いだしたらきかないかをアルフレッドは良く知っていた。
アイリーンを止められるのはウィリアムだけだとアルフレッドは知っているので、可能な限りのサポートをしたいとアルフレッドは思っていた。
「よお、お兄さん。あんた気質じゃないよな?」
酒場の裏道で人相の悪い男達に声をかけられたアルフレッドは、今日は私服で帯剣していないことを少し後悔した。
「何の用でこのあたりの酒場を虱潰しに探ってるのか、ちょっと気になってね。何のつもりかによっちゃ、無事には帰れなくなるけど」
ニヤリと笑いながら男の一人が言った。
「俺はただの兵士だ。国境線の争いでくたびれたから、休みを取って憂さ晴らしに酒場巡りをしていただけだ。戦争が始まったら酒も飲めなくなるからな」
アルフレッドが睨みを効かすと、男達はジリジリと後ろに下がった。
後ろに下がった男達が背後に立っていた男にぶつかった。
男たちが振り向くと、そこには背の高いオレンジ色の髪の毛の体格の良い男性が男たちを見下ろしていた。
「見る限り、助けが居るのは君達の方に見えるけど、そこの兵隊さんを相手にしようなんて考えているなら、腕を磨き直してきてからの方が良いと思うよ」
長い前髪をかきあげながら言うと、男たちが背後の男をマジマジと見つめた。
「お、オレンジ色の髪に、その左腕のタトゥー、まさか、あんた・・・・・・」
「俺のこと知ってるんなら、ここでこんな事して良いか分かるよね?」
言葉はソフトだが、その男の発する殺気は路地の奥にいるアルフレッドは、にも感じられた。
「し、失礼いたしました!」
「お許し下さい」
男たちは口々に謝罪の言葉を言って路地から走り出ていった。
「助けてくれなくても、奴らに負けるようなヘボじゃないんだが」
アルフレッドは、自分がかなり酔っている事も忘れて言った。
「確かに。しらふなら助けはいらなかっただろうね。でも、俺としては、この国を守る大切な兵士をこんな所で、ごろつきに怪我させられたくないからね」
オレンジ色の髪の男は言うと、笑って見せた。
「あんた、この国の人間じゃないだろう?」
アルフレッドの問いに、オレンジ色の髪の男が声を出して笑った。
「そりゃね。デロスの民はイエロス・トポスの民と同じで、神の祝福を受けた白い肌に美しいプラチナブロンドやブロンド、お姫様みたいなストロベリーブロンドの髪だからね。こんな薄汚れた肌の色をした民なんていないだろう?」
男の言葉に、アルフレッドは違和感を覚えたが、それ以上は追求しなかった。
「そんなことはない。デロスは広く移民も受け入れている。パレマキリアのように、髪や肌の色で民を差別したりはしない」
「じゃあ、何で俺がデロスの民じゃないと?」
オレンジ色の髪の男が尋ねた。
「雰囲気だよ。それと、しいて言うなら言葉だな。あんたには、デロスの民とは違う鉛がある。だから余所者だと思っただけだ」
「そっか。ならいいよ。早く帰った方がいい。まあ、まさかとは思うけど、連中が仲間を連れて戻ってくると厄介だからね。それに、この国は、今は一人でも多く兵士が必要だろう?」
一歩前に踏み出そうとしたアルフレッドは、自分が思っていたより酔っていることに気付いた。
「ありがとう。礼を言うよ。自分で思っているより、かなり酔っていたようだ・・・・・・」
「ご武運を兵士さん。長生きできるといいね・・・・・・」
オレンジ色の髪の男は、アルフレッドの背を叩くと、名乗らずに姿を消した。
アルフレッドは、そのまま城に帰らず、馬車を拾って屋敷へと戻った。
☆☆☆
(・・・・・・・・レッド・ライオンならば、まともな船乗りが集まってる。ゴールデン・アップルはダメだな、危険な連中が多い。イエロー・ドラゴンは止めた方が無難だな。他にも、後一ヶ所くらいは見つけておきたかったんだが・・・・・・・・)
アルフレッドは、更に幾つかの酒場を巡り終え、アイリーンに勧める酒場のリストにグリーンズゲートを追加した。
長い付き合いだけ有り、どれほどアイリーンが頑固で言いだしたらきかないかをアルフレッドは良く知っていた。
アイリーンを止められるのはウィリアムだけだとアルフレッドは知っているので、可能な限りのサポートをしたいとアルフレッドは思っていた。
「よお、お兄さん。あんた気質じゃないよな?」
酒場の裏道で人相の悪い男達に声をかけられたアルフレッドは、今日は私服で帯剣していないことを少し後悔した。
「何の用でこのあたりの酒場を虱潰しに探ってるのか、ちょっと気になってね。何のつもりかによっちゃ、無事には帰れなくなるけど」
ニヤリと笑いながら男の一人が言った。
「俺はただの兵士だ。国境線の争いでくたびれたから、休みを取って憂さ晴らしに酒場巡りをしていただけだ。戦争が始まったら酒も飲めなくなるからな」
アルフレッドが睨みを効かすと、男達はジリジリと後ろに下がった。
後ろに下がった男達が背後に立っていた男にぶつかった。
男たちが振り向くと、そこには背の高いオレンジ色の髪の毛の体格の良い男性が男たちを見下ろしていた。
「見る限り、助けが居るのは君達の方に見えるけど、そこの兵隊さんを相手にしようなんて考えているなら、腕を磨き直してきてからの方が良いと思うよ」
長い前髪をかきあげながら言うと、男たちが背後の男をマジマジと見つめた。
「お、オレンジ色の髪に、その左腕のタトゥー、まさか、あんた・・・・・・」
「俺のこと知ってるんなら、ここでこんな事して良いか分かるよね?」
言葉はソフトだが、その男の発する殺気は路地の奥にいるアルフレッドは、にも感じられた。
「し、失礼いたしました!」
「お許し下さい」
男たちは口々に謝罪の言葉を言って路地から走り出ていった。
「助けてくれなくても、奴らに負けるようなヘボじゃないんだが」
アルフレッドは、自分がかなり酔っている事も忘れて言った。
「確かに。しらふなら助けはいらなかっただろうね。でも、俺としては、この国を守る大切な兵士をこんな所で、ごろつきに怪我させられたくないからね」
オレンジ色の髪の男は言うと、笑って見せた。
「あんた、この国の人間じゃないだろう?」
アルフレッドの問いに、オレンジ色の髪の男が声を出して笑った。
「そりゃね。デロスの民はイエロス・トポスの民と同じで、神の祝福を受けた白い肌に美しいプラチナブロンドやブロンド、お姫様みたいなストロベリーブロンドの髪だからね。こんな薄汚れた肌の色をした民なんていないだろう?」
男の言葉に、アルフレッドは違和感を覚えたが、それ以上は追求しなかった。
「そんなことはない。デロスは広く移民も受け入れている。パレマキリアのように、髪や肌の色で民を差別したりはしない」
「じゃあ、何で俺がデロスの民じゃないと?」
オレンジ色の髪の男が尋ねた。
「雰囲気だよ。それと、しいて言うなら言葉だな。あんたには、デロスの民とは違う鉛がある。だから余所者だと思っただけだ」
「そっか。ならいいよ。早く帰った方がいい。まあ、まさかとは思うけど、連中が仲間を連れて戻ってくると厄介だからね。それに、この国は、今は一人でも多く兵士が必要だろう?」
一歩前に踏み出そうとしたアルフレッドは、自分が思っていたより酔っていることに気付いた。
「ありがとう。礼を言うよ。自分で思っているより、かなり酔っていたようだ・・・・・・」
「ご武運を兵士さん。長生きできるといいね・・・・・・」
オレンジ色の髪の男は、アルフレッドの背を叩くと、名乗らずに姿を消した。
アルフレッドは、そのまま城に帰らず、馬車を拾って屋敷へと戻った。
☆☆☆