旦那さま、初夜はいつになりますでしょうか?〜溺愛旦那様の艶事情〜
今日こそ……。
祈るような気持ちで再び読んでいた洋書を膝に乗せ、その場をカムフラージュしていると――
「起きてたんだな……みな」
ドアが開き、お風呂上がりの旦那様――隼人さんが顔を出す。
湿ったブラウンのミディアムヘアに、色素の薄い中性的な美貌。薄い唇には、人懐っこい笑み。
まるで、絵本の中から出てきた王子様のような風貌の彼は、三ヶ月前に結婚した十歳上の三十二歳になる――私の旦那様だ。
私を見てほんの一瞬、目を見開いたような気がしたけれど。次の瞬間にはいつもの笑みに戻っていた。私の希望的観測らしい。