旦那さま、初夜はいつになりますでしょうか?〜溺愛旦那様の艶事情〜

手にしていた書類の入ったクリアファイルを、涼しい顔で隼人さんに差し出す。

「それと……」

隼人さんが何か言う前にそう続けて、どこからともなくカードキーのようなものを取り出しチラつかせる。

「“大きな声でお話しできない話題”もございますでしょうし……隣に移動されてゆっくりお話しをしては?」

大きな碧眼を、隣の大きな建物と周囲にサッと目を配らせたあと、彼女はニッコリと意味ありげに笑って肩をすくめてみせた。

隣にはさっき男に連れ込まれそうになった、シンプルなレンガ調のビジネスホテル。
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