旦那さま、初夜はいつになりますでしょうか?〜溺愛旦那様の艶事情〜

まぁ、その件について、帰国したときにお母さまに聞いたほうがよさそうだ。

「おりを見て話さなければとは思ってたんだが、みなが社内の人間になった以上、安易に話せるものでもないし、俺としてもあまりカッコのつく話題でもない。話さなければと考えていたものの……あの夜名前を出されるまで、忙しさにかまかけてすっかり抜け落ちていた。
――申し訳なかったね……。そんな噂が、みなのことを苦しめているとは知らなかった」

もっと早く言ってよ。と思わないでもないけれど。

隼人さんの抱えていた事情や本心、そして伝えようとしてくれた意志が伝わり、胸の中が暖かくなる。

あの夜というのは、クラスパーティーの話を持ちかけ、ソフィアさんへの嫉妬心がこぼれてしまった日のことだろう。
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