ゾンビアイドルと溺愛同居



『あぁぁぁぁぁ!!』


俺は頭を抱えながら

玄関ドアの前にしゃがみこむ。



『恋にへたれなのは、間違いなく
 (なま)・純恋が可愛すぎるせいだし!』


ドキドキを紛らわしたくて

俺は自分の髪を

両手でワシャワシャワシャ。




緩く波打つ俺の髪が

実験に失敗した博士みたいに

グシャったのにハッとして


『自分で自分をダサくして
 どうするんだよ!

 好きな子の瞳には
 最高にかっこいい俺を映して欲しくて

 楽屋の化粧鏡の前で
 丁寧に髪をセットしてきたのに!』


大きなため息を吐きながら

俺は、手ぐしで髪を整えた。



もうスマホの時計は

夜の10時を過ぎている。


純恋に伝えた帰宅時間は、夜8時。


2時間も遅れるって……


ギャーギャーうるさい

あいつらのせいだな。

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