ゾンビアイドルと溺愛同居


「狂夜、落ちついてください。
 肌が緑色になってますよ」


そんなこと言われても……


「やだ、狂夜!
 ここで完全ゾンビ化は
 絶対にダメだってば!!」


ダメって言われても……



純恋が俺を裏切った。


俺じゃなくて、元カレを選んだ。


彼女への憎しみに支配され

まともな理性を

保っていられない。




俺は楽屋の奥に走り

鏡の前にある椅子を

天井に向け持ち上げる。


「ひぃあぁぁぁ!
 狂夜、暴れちゃダメだってば!」



脳の奥の方で

かすかに聞こえる

朝比奈さんの叫び声。


ハッとなって

俺は椅子を床に置いた。




暴れたくない。


完全ゾンビ化して

ヴァンピメンバーにも

朝比奈さんにも

迷惑をかけたくない。



わかっているのに。

だれも傷つけたくないのに。


こみあげる怒りが、抑えられない……


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