ゾンビアイドルと溺愛同居
「その後ね、父さんへの憎しみが
マグマのようにドロドロに煮えたぎって
俺の肌がどんどん緑色に
変わっていったんだけど
理性を飛ばす前に
サーっと肌の色が戻っていったんだよ」
今まで俺が忘れていたことを
ふと思い出したから。
「俺が初めてゾンビになった時
父さんがボソッと言ってたんだ。
宝物を手放すのって
こんなにしんどいんだなって」
今にも泣きそうな顔で
悔しそうに唇を噛みしめながら。
「あの時の俺はゾンビ化が進んで
怒り狂っていたから
父さんのつぶやいた言葉の意味なんて
考えようともしなかったけれど……
今の俺はにはわかるんだ。
大事な人と離れなきゃいけなかった
父さんの苦しみが」
俺にもいるからね。
永遠に俺の腕の中に
閉じこめておきたいくらい
大事な大事な人。
もちろん
大好きな純恋のことだよ。