ゾンビアイドルと溺愛同居


昨日、担当医の先生に

「もう家に帰っていいですよ」って言われた。


「軽いゾンビ化で肌が緑になったら
 すぐ薬を飲めば大丈夫だから」って。


でも当分の間、ゾンビ研究所でお世話になろう。


怖いんだ。

いつ私が、完全なゾンビになってしまうのか。


人間としての理性が亡くなって

凶暴なゾンビになって

人を襲っちゃったらどうしようって。


そんな暗いことばかり考えている私。

怖くて、研究所の外に出られない。



特にやることがなくて

研究所内の掃除ばっかりしているかな。


研究員の人たちはみんな優しいの。

私を喜ばせようと、声をかけてくれる。

「狂っちがもうすぐ、テレビに出るよ。
 純恋ちゃんも一緒に見ようよ!」って。


でも「私はいいです……」って

断っちゃうんだ。


だってね


ちょっとでも狂くんを

自分の瞳に映しちゃったら


――狂くんに会いたい。


恋心が再燃して

涙が溢れちゃいそうだから。

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