運命に出会いました!〜年下令嬢は魔術師様を熱愛中〜
「………貴女は本当に、私を厭うてはいないのですね」
ぽつり、と思わずこぼれてしまった、というような言葉に瞬きを返す。本人にも無意識だったのかハッとしたように口元を押さえて気まずそうにする姿に胸があたたかくなる。これが愛おしいと言う感情かしら。
「えぇ。初めてお目にした時からわたしはグラナティス様に全力で惹かれていますわ」
13歳の小娘が何を言うのかと言われそうだけど、それ以外に表現の仕様もないのだし、わたしがそうだと思っているのだから何も問題はない。
口さがない周囲からはあの令嬢は悪魔に魅入られてしまったのだとか呪われたのだとか、高位貴族の仲間入りをしたいがためにあんな風に振る舞っているのだとか、面白おかしく言われているがそんなものは鼻で笑える。
こんなにも全力でその存在に惹かれることなんてきっと一生ないし、そういう存在に出会えるなんてそれこそ運命が導いてくれたとしか思えない。
自分の全てをかけて、全力でこの人が好きだと胸を張って思える相手に出会えたわたしは幸運で、幸福で、誰よりも恵まれている。