運命に出会いました!〜年下令嬢は魔術師様を熱愛中〜
でもそう思うわたしのことを目の前の人はいまいち信じていない。当然よね、会ったばかりだし、それこそこの美しい人は幼少の頃から周囲の悪意に晒されて傷つけられてきた。
蔑まれて、倦厭されて、恐怖されて。長年のそういう視線や植え付けられた価値観はそう簡単に払拭できないことも悔しいけど理解しているから。
「見ていて下さいね」
ベンチから立ち上がってグラナティス様の正面に立つ。わたしの方が見下ろすようになるこの高低差がなんだか初めて会った時と逆に感じて少しだけ面白い。
あの時のようにその両手に手を伸ばして優しく自分のまだ小さな手で包み込むように掴む。まだ視線を合わせることも慣れないのかうろうろと彷徨うような赤い瞳がいつかわたしを真っ直ぐに見つめてくれますように。
祈りを込めてその手の甲に口付ける。
「貴方のことが好きです」
周囲なんて関係ない。
全力で、全身全霊で貴方にわたしの好きを伝える姿を見て。
そして、わたしを選んで。
「わたしの、運命」
絶対に掴み取ってみせるから、わたしを、わたしだけを見ていて。
思いのままに微笑んだわたしを、どこか呆然としたガーネットの瞳が映していた。