運命に出会いました!〜年下令嬢は魔術師様を熱愛中〜
さて、と気を取り直したところで本日も魔術師塔にランチを持参して一緒に食べる予定なのでさっさと準備をして家を出る。料理の腕も上達して今では全てわたしの手作りなのだ。勿論、空いた時間につまめるようにお菓子も入っている。
知っています?お菓子作りって、奥が深いんですのよ……ここまでの道のりは遠かったですわ。料理よりも相性が悪かったのか初めてのお菓子作りのときはオーブンを爆破させてしまったんですもの。あれには驚きましたわ。
余程の衝撃だったのかその日は記憶が曖昧で、ただお見舞いに来てくれたグラナティス様のことは鮮明に覚えている。あの美貌がちょっと焦ったような表情をして、わたしを確認してからほっと緩んだ姿はもう、もう!とじたばたするぐらいの破壊力があったので得をした気分になった。恋する乙女はちゃっかりしているのだ。
脳内ではそんなほのぼのとした思い出を反芻していたけれどそろそろ現実に向き合わなければならないらしい。