運命に出会いました!〜年下令嬢は魔術師様を熱愛中〜



据わった目でわたしの行く先を阻むように立ち塞がる数人の貴族令息の姿を見る。か弱い令嬢を数人で囲むだなんて紳士の風上にも置けませんわね。


わたしが魔術師塔に日参しているのは結構有名な話なので実を言うとこういう待ち伏せ的なものには何回か遭遇している。しかもこの頃頻度が上がっているような気がするのよね……まぁ理由はわかるけれど。



「わたし、先を急いでいますの。退いてくださる?」



このままでは埒が開かない。ただでさえ家でぐだぐだしていて時間が迫っているのだ。このまま無駄な時間を使わせるならば実力行使も厭わないところである。


この時点で兄ならば背中を見せて逃げ出しているところだが、この目の前の人たちは余程鈍いのか不穏なオーラを発しているわたしに気づくこともなくぺちゃくちゃぺちゃくちゃとにこやかにしているつもりの笑顔を見せて話しかけてくる。



「貴女のような美しい人の出迎えもせずに引きこもっている輩など捨て置いて私たちと昼食でもいかがですか」


「高級人気レストランの予約をしているのですよ」


「それとも甘味の方がよろしいですか?それならば有名なカフェを知っているのでそちらに行きましょう」



自分の誘いを断るはずがないとばかりの傲慢さにうんざりしてしまう。なんて浅はかなのか。



「大変ですわね、そんなに必死になって。わたしのような者にも声をかけなければならないなんて、余程お相手に困っているのかしら?」



ぎくり、と一瞬動揺したように揺れた体にどれだけ舐められているのかと内心で毒づいてしまう。



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