運命に出会いました!〜年下令嬢は魔術師様を熱愛中〜



確かにまだわたしは16歳であり社交界にも頻繁に顔を出しているわけではない。それよりもグラナティス様と一緒にいたいし!だからといって情報に疎いままでいるわけがないだろう。情報の大切さはしっかり身に染みている。


すぅ、と目を細めて一人一人をしっかり脳内に記憶する。目の前の令息たちからは腐ったような澱んだような、明らかに害のある臭いがする。こういうのが分かるのって面倒この上ないけど体質的なものだし、危機管理という意味ではかなり役に立つ。


まぁその人の良し悪しが必ずしもわたしの嗅覚でわかるわけではないし、この奇妙な体質のせいで人との関わりに苦労するわ貴族としては落ちこぼれの烙印を押されるわでうんざりした時もあったけれど。


稀にわたしのように魔力を嗅覚で感じたり可視化できたり、味や肌で知覚できる人がいる。体質的な問題で、魔力に過敏なせいでその副作用的なものとしてそういう症状が出るらしい。魔力をよく感じられるのなら魔術の扱いは上手くなるというのが俗説だけど、わたしのような体質だと逆に魔力を感じすぎて暴走してしまうこともある。勿論上手に付き合って成功している人もいるけれど。


まぁわたしはそもそも魔術の行使ができないからその危険性もほぼないに等しい。体の内部で完結する身体強化や自己治癒能力の向上ならできるが、火を出したり水を出したりと現実に物質的に作用するものはさっぱりだ。


この国の貴族は総じて魔力が高く扱いも上手い。魔力が高いからこそ貴族に取り立てられるとも言えるかしら。だからこそ魔術を行使できないわたしは貴族としては欠陥品なのよね。別に気にしてないけど。




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