運命に出会いました!〜年下令嬢は魔術師様を熱愛中〜



そしてそんな貴族としてはかなり劣等種なわたしに声をかけてきた同じ年頃の貴族令息なんてもう怪しいの一択しかないでしょう。一番簡単に考え得るものでも手段がお粗末としか言いようがない。考えが浅すぎですわ。



「い、嫌ですね。純粋に貴女と交流を持ちたいと考えているのですよ」


「まぁ、そんなに顔を引き攣らせては嘘だと言っているようなものですわよ?」



貴族たるもの、その程度のポーカーフェイスもできなくてどうするのかとにっこり笑って小首を傾げてみる。こういう態度ってすごく腹立つのよね。やられるなら兎も角やる方なら楽しいからいいけど!


それにしても臭う。もう本当に限界と言ってもいいぐらいなのだけど。特にわたしに悪意や害意を持ってる人や本当に性根の腐った人間って酷い悪臭がするのよね。


悲しいことにこの苦しみって共感できる人がいないのよ……特に貴族で人が多いところなんてもうありとあらゆる臭いが凝縮されているものだからもはや良い悪いさえないのよね…それに追加して普通の香水とかも混ざるわけよ。社交なんてうんざりしても仕方ないと思うの。



「生憎とわたしにはすでに運命がいますので、貴方達とは金輪際交流を持つのも視界に映すのも遠慮しますわ」



さりげに、とはちょっと物理的に難しかったので強引に輪を抜け出して前に進もうとするも通りがけに腕を掴まれる。しかもこっちに気を使うつもりはないのか結構しっかり力が入っている。痣になったらどうしてくれるのか。




< 17 / 38 >

この作品をシェア

pagetop