運命に出会いました!〜年下令嬢は魔術師様を熱愛中〜



取り繕うつもりもなくなったみたいでさっきまでの薄っぺらい笑顔が見下すような嘲りの表情で歪んでいる。ほら、やっぱり裏があったじゃない。



「許可もなく淑女に触れるなんて、批難されてもおかしくない態度であることを理解されてます?」


「ははっ、それこそおかしなことを言うんだな。魔術も使えない出来損ないが」



正確にいうと全く使えないわけではないけれど、今ここでそれを言及しても意味はないだろう。わざわざ手の内を見せる必要性も感じない。


ぎり、と音がしそうなほどに掴まれている腕に眉を顰めつつ、冷ややかな目で見据えれば怯んだ様子もないことに溜め息が漏れそうになる。魔術も使えない、って言われていたしこれはかなり舐められているみたいだわ……



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