運命に出会いました!〜年下令嬢は魔術師様を熱愛中〜



グラナティス様の手が離れる前にわたしから慌ててその手を掴む。ここで放したらもう捕まえられなくなってしまうと怖かった。



「グレイス…?どうしたの?」


「ふっ、ぅうぅ……っ、…」


「……いつもみたいに話してごらん?」



宥めるように、甘やかすように、優しい声が上から落ちてくる。


ぼろぼろと涙がこぼれてひくっ、と喉が鳴る。



「ふ、ぅぅっ…ふぇ、おねがい、……きらわないでぇぇ…っ、」



きらいにならないで。なんでもするから、はなれていかないで。


ずっといっしょにいたいの。だいすきだから、となりにいたいの。すきになってほしいの。


えぐえぐ、と詰まりながらもぽろぽろと心の中に溜まっていた本音が飛び出していく。現実でこんなことを言っては呆れられてしまうから、こんな利己的なことは言えないけれど。


だって夢だもの。夢の中ならきっと、わたしの願望が反映されて優しいことを言ってくれるから。


うぇえぇぇん、と子どもみたいにかの人の手に縋りついて泣いている間にまた意識を失ったらしい。次はサラサラと髪を撫でられる感触で目が覚めた。




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