運命に出会いました!〜年下令嬢は魔術師様を熱愛中〜
基本的にはわたしが話しかけてそれに答えてくれる、というような会話をし、ランチの時間は終わってしまう。一般の人は魔術師塔には入れないのよね…かと言って残念なことにわたしは魔術師になれる素質はないので塔に入ることもできないし。
「あの、ミレブラウ嬢、」
「グレイスですわ」
「う、…グレイス嬢…」
「ただのグレイスでよろしいのに…」
しょんぼりしてしまうけど、あまり押し過ぎて嫌われるのは困るので気を取り直して「どうしましたか?」とにっこり笑う。
「……明日は、その、お昼は遠征があるので一緒に食べるのは難しいと思います」
「まぁ、そうなのですね」
自然と声が悲しいものになってしまう。残念だけどお仕事ならば仕方ない…残念だけど。それはもう心の底から残念だけども!!
せめてお弁当を、とも思ったけど今日の夜のうちに準備をして早朝に立つらしくそれも難しいとのこと。そして帰ってくる日も定かではないと聞いてしまえばもうこれは心の底から残念がってもいい案件だと思う。
考えてもみてほしい。わたしの一日は目が覚めてグラナティス様の姿絵に挨拶をして朝食後はグラナティス様に相応しい淑女になるべく勉学に励み、グラナティス様の顔を思いながら昼食を作り魔術師塔に訪問してグラナティス様とランチを楽しみ。
帰宅後もグラナティス様に恥をかかせないためにマナーやらなんやらに励み、かの人は今何をしているのかなと思いを馳せながら夕食をいただきその後今日のグラナティス様を思い返しながら明日のことを予習し、グラナティス様の姿絵におやすみの挨拶をして就寝するのである。
改めて反芻すればもうわたしの生活グラナティス様一色である。気色悪いとか聞こえない、だって恋する乙女だもの。