(旧)この青く澄んだ世界は希望の酸素で満ちている
「なら行くぞ」
「……?
行くって、どこ……」
全て言い終わる。
その前に。
那覇が私の腕を掴み———。
「……っ⁉」
驚きのあまり。
一瞬、声が出なかった。
「……なっ……那覇っ⁉」
声は出すことができたけれど。
那覇のことを呼ぶことで精一杯。
「おっ……おいっ、
何暴れてるんだよ」
那覇はそんなこと言っている。
だけどっ。
暴れて当然でしょっ。
だって那覇が。
私の腕を掴んだまま真っ白な光の中に入って行こうとしているのだから。
「南瀬も真っ白な光が見えているのなら、
真っ白な光は南瀬にとっても必要なものなんだ」
必要……?
真っ白な光が……?
那覇……?
さっきから何を言っているの……?
「だから、
入ろう、一緒に」
那覇……。
私の目を見る那覇の瞳。
純粋過ぎるくらい澄んでいる。
不思議。
今の今まで真っ白な光の中に入ること。
すごく躊躇っていたのに。
那覇の瞳を見ていると。
何の根拠もないのに。
大丈夫かも、と思えてくる。
だから。
「……うん」
ゆっくりと静かに頷いた。
私が頷いたのを見た那覇は。
クールな那覇とは思えないくらいの穏やかな表情で「ゆっくりでいいから」とやさしく声をかけてくれた。
那覇のやさしい声を聞いたら。
安心して落ち着くことができた。
そして私と那覇は真っ白な光の中に入って行った。