君と見た夢のような世界、それは切ないくらいに澄んで美しく



 考えた結果。
 無難にその女の子に笑顔で手を振る。

 それしか思いつかなかった。


 幸い、その女の子も笑顔で手を振ってくれたから助かった。

 そして、その女の子の隣にいるママも笑顔で私の方を見て会釈をしていた。

 私も女の子のママに笑顔で会釈した。



 そして、なんとか無事にスーパーを出た私と空澄(あすみ)

 無事……って。
 別に危険な目にあっていたわけではないのだけど。


 帰り道。
 空澄とのんびりと歩いている。


 そのとき。
 思い出していた。

 さっき店内で女の子に言われた言葉を。

『カッコイイ彼氏』

 その言葉を聞いてふと思った。

 私と空澄は。
 周りから見るとどんなふうに見えるのだろう、と。

 あの女の子は、たまたま空澄のことを『彼氏』と思ったみたいだけど。
 他の人たちは私と空澄のことをどんなふうに見るのだろう。

 なんでこんなことを気にするのか。
 よくわからない。

 だけど。
 なぜだかそのことが頭から離れなくて。

 そのことは『心が呼吸できる世界』に入るまで消えることはなかった。


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