(旧)この青く澄んだ世界は希望の酸素で満ちている
しばらく歩き続けると。
昨日、私と空澄が夕焼けを見に来た神社に着いた。
そこから少し奥の方へ歩いて行く。
ここには街灯はない。
だけど空が真っ暗から薄暗く変化している。
明るいとまではいかないけれど。
ほんの少しだけ外の景色が見やすくなってきた。
そして——。
昨日、私と空澄が夕焼けを見た場所にたどり着いた。
この場所は広い範囲を見渡すことができる。
なので同じ場所で正反対の方角にある朝焼けと夕焼けを見ることができる。
そして、その場所の風景を見た凪紗も心詞も響基も「絶景」と口をそろえて言った。
凪紗と心詞と響基は「あっちもいいよ、行ってみよう」と言いながら私と空澄がいるところから少し離れた場所に行った。
「もうすぐ夜が明ける」
凪紗たちは少し離れたところにいる。
なので今、私と空澄は二人きり。
そのとき空澄は穏やかな声でそう言った。
夜が明ける。
それは、どんなに素敵な景色なのだろう。
そう思うと、とても待ち遠しい。
そんな気持ちになった。
それから十分近く経ち———。
「……なんて……
なんて美しくて素晴らしいの……」
その景色は。
あまりにも美し過ぎて。
やっぱり自然に言葉が出た。
夕焼けもすごく素敵だった。
そして今見ている朝焼けも。
夕焼けとはまた違う魅力に溢れている。
「彩珠」
そんな朝焼けに見とれているとき。
空澄のやさしい声が聞こえた。
その声にひかれるように空澄の方を見た、ら……。