(旧)この青く澄んだ世界は希望の酸素で満ちている



 六月の下旬。
 今日は晴れている。
 だけど、やっぱりこの時期は晴れていても蒸し暑さを感じる。

『まだ朝の六時を過ぎたばかりなのに』
 この時間から暑いと昼間はどんなに暑くてなってしまうのだろう。
 そう思うと、ぐったりしてしまう。



「こんなところにいたのか」


 そう思っているとき。
 背後から聞きたくない声が聞こえた。

 その声は。
 恐ろしいほど地を這うように怒りが込められている。


 その声が聞こえた瞬間。
 恐怖で身体が固まってしまい、ベンチから立ち上がって逃げたくても逃げられない。


 近づいてくる。
 確実に。

 その恐ろしいほどの威圧感は背後からでもはっきりとわかる。


 そして。
 その威圧感を放っている人物が私の目の前に。

 私はベンチに座ったまま。
 その人物は立っている。
 なので、その人物から見下ろされている状態。
 そのときの、その人物の目つきは恐ろしいほどで。
 その人物から目を逸らしたくても。
 恐怖で固まってしまっているため逸らすことができない。


 その人物は……。


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