(旧)この青く澄んだ世界は希望の酸素で満ちている



彩珠(あじゅ)っ‼」


 そのとき。
 自動販売機でジュースを買って戻ってきた空澄(あすみ)が連れて行かれそうになっている私を見て、驚きのあまり手に持っているペットボトルのジュースを落とした。


「空澄っ‼」


 空澄の姿を見た私は叫ぶように空澄の名前を呼んだ。


「彩珠っ‼」


 空澄が必死に走って私のところに来てくれている。


「空澄っ‼」


 そんな空澄のことを精一杯の声で呼ぶ。


 そんな私と空澄のことを親父は驚いた表情(かお)で見ている。

 武藤さんと北山さんも驚いたのか、動きが止まっている。
 だけど私の腕を掴んでいる力は変わらなかったから、そこから逃げることはできない。


「彩珠っ‼」


 私のところ。
 そこまで、あとわずか。


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