君と見た夢のような世界、それは切ないくらいに澄んで美しく
* * *
「空澄、彩珠はどうしたんだよ。
一緒じゃねぇのか」
日が暮れて。
いつものように『心が呼吸できる世界』に来た。
部屋に入ると、さっそく凪紗にそう訊かれた。
「彩珠は……連れて行かれた。
彩珠の親父さんに」
そう言うと。
凪紗と心詞と響基は「えぇっ⁉」と声を出して驚いている。
「連れて行かれた、って、
彩珠の家にってことか?」
驚きながら凪紗はそう訊いた。
「あぁ。
彩珠の親父さんが嫌がる彩珠を無理やり家に連れて帰らせた」
凪紗や心詞や響基には彩珠が俺の家に泊まっていることは話してあった。
だから細かい説明をしないで話すことができている。
「無理やりだなんて、
彩珠の親父、許せないな」
俺の話を聞いた凪紗は怒りを滲ませている。
心詞と響基は悲しげな表情をしている。
「それで今から話しておこうと思うことがある」
俺は決意した。
今朝、何も考えることができないまま家に帰った俺は時間をかけて冷静さを取り戻した。
そのときに思いついたことがある。
この方法は必ずしも成功するとは限らない。
だからといって、このまま何もしないのは絶対に嫌だ。
だから——。