君と見た夢のような世界、それは切ないくらいに澄んで美しく
* * *
現実の世界は二十二時を回ったところ。
「惺月さん、
お借りしたいものがあるんですけど」
俺と凪紗と心詞と響基は惺月さんのところに来ている。
惺月さんに借りたいものがあるから。
惺月さんは前に『何か借りたいものがあるときは言ってね。全て揃ってるわけではないけど』と言っていた。
彩珠のことを救うためには必要なものがある。
それらが惺月さんの部屋にあるのかは、わからない。
だけど惺月さんもそう言ってくれたから、訊いてみようと思った。
「あぁ、それね。
あるわよ。
ちょっと待っててね」
よかった。
あるみたいだ。
惺月さんはそう言ってカウンターの奥にある棚から透明のガラスの小物入れのようなものを二つ持って来てカウンターのテーブルの上に置いた。