君と見た夢のような世界、それは切ないくらいに澄んで美しく
「次に、このビー玉のようなものの説明をするわね。
これは、手に乗せた後、
こういうふうに使いたい、そう思い描くと
その形になって必ず思い描いた人の役に立つと思うわ。
役目を終えたら蝶々と同じで元に戻るの」
ガラスでできたようなビー玉。
それは、そういう役目をしてくれるのか。
そうなんだ。
せっかく蝶々が彩珠の部屋に導いてくれても。
彩珠のことを救い出す手段がない。
彩珠の部屋が一階なら窓から声をかけることができるかもしれない。
だけど彩珠の部屋が二階だとしたら、それは無理なこと。
だから、そのときのことを想定しなければならない。
このビー玉が思い描くことに反応して、そうなってほしい形になってくれる。
それなら彩珠の部屋が二階でもなんとかなると思う。
俺は、このビー玉にこう思い描こうと思う。
『階段になってほしい』と。
そうしたら彩珠は二階から下りてくることができる。