君と見た夢のような世界、それは切ないくらいに澄んで美しく
「彩珠、会いたかったぜ」
そのとき最初にそう声をかけてくれたのは凪紗。
凪紗は私の肩に腕をまわして「彩珠、私らに会えなくて寂しかっただろう」とニッとしながらそう言った。
凪紗の言葉に「うん、寂しかったよ」と返答した。
「彩珠ちゃん、また会えて嬉しい」
次に心詞がそう声をかけてくれた。
私も「会えて嬉しい」と伝えた。
正直なところ、もう心詞たちに会えないかもしれないと思って落ち込んでいた。
だから、またこうして心詞たちに会えることができて本当に嬉しい。
「彩珠さん、無事でよかった」
その次に響基がそう声をかけてくれた。
のだけど。
『無事』という言葉を聞くと、今まで私が危険なところに閉じ込められていたような感じに聞こえる。
実際には危険なところではなく実家に居ただけ。
そう思っていると、少しだけ可笑しくなってきて、心の中でプッと笑ってしまった。
だけど。
『無事でよかった』
そんな響基の言葉はものすごく嬉しいし感謝している。
だから。
「ありがとう」
そう響基に言った。
そのあと私は空澄の方を見た。
空澄は穏やかに微笑んで静かに頷いている。
そんな空澄のことを見ていると心が落ち着いてくる。
無言のまま見つめ合っている私と空澄のことを見ている凪紗は「なに見つめ合ってるんだよ、お前ら」とニヤニヤしながらそう言っている。
凪紗のその言葉に恥ずかしくなってきた。
だけど、何て言えばいいのか言葉が見つからない。
「彩珠」
そのとき。
空澄が声をかけた。
「彩珠、今から『心が呼吸できる世界』に戻ろう」
空澄がそう言ってくれた。
もちろん私もそうしたいから大きく「うん」と頷いた。