君と見た夢のような世界、それは切ないくらいに澄んで美しく



彩珠(あじゅ)、それでは『心が呼吸できる世界』まで行くのに歩きづらいだろ」


 空澄(あすみ)はそう言って私の足元を見ている。

 今、私はルームスリッパを履いている。


「大丈夫だよ。
 何も履いていないよりはマシだから」


「だけど、やっぱり歩きやすいのがいいだろ」


 空澄がそう言うと空澄の手に七色に輝いている光が集まり、それがビー玉のような形になった。


「彩珠が下りてきた階段、
 それの元はビー玉(これ)
 なってほしい形を思い描くと、その形になるんだ」


 このビー玉が、あの階段……?


 空澄の言葉を聞いて驚き、後ろを振り向いた。

 下りてきたときに使った七色に輝いていた階段が、もうそこにはなかった。


 驚いている私に空澄は「もうビー玉になってるから階段はないよ」と笑顔で言った。


< 137 / 198 >

この作品をシェア

pagetop