君と見た夢のような世界、それは切ないくらいに澄んで美しく
「彩珠、それでは『心が呼吸できる世界』まで行くのに歩きづらいだろ」
空澄はそう言って私の足元を見ている。
今、私はルームスリッパを履いている。
「大丈夫だよ。
何も履いていないよりはマシだから」
「だけど、やっぱり歩きやすいのがいいだろ」
空澄がそう言うと空澄の手に七色に輝いている光が集まり、それがビー玉のような形になった。
「彩珠が下りてきた階段、
それの元はビー玉。
なってほしい形を思い描くと、その形になるんだ」
このビー玉が、あの階段……?
空澄の言葉を聞いて驚き、後ろを振り向いた。
下りてきたときに使った七色に輝いていた階段が、もうそこにはなかった。
驚いている私に空澄は「もうビー玉になってるから階段はないよ」と笑顔で言った。