君と見た夢のような世界、それは切ないくらいに澄んで美しく



「……なんて。
 そうだと思ってたけどな」


 と、思ったら。
 凪紗はニヤリとしながらそう言った。


「気付いてたのか?」


 凪紗の言葉に空澄(あすみ)はそう訊いた。


「私だけじゃないぜ。
 なぁ、心詞(みこと)、響基」


 凪紗はそう言って心詞と響基の方を見た。


「えっ、そうなの?」


 空澄も心詞と響基の方を見る。


 心詞と響基は「うん」と言って頷いた。


「空澄の態度がわかりやすいんだよ。
 それに、お前ら、朝焼け見てたとき、
 後ろの方でイチャついてただろ」


 バレていたっ‼

 朝焼けを見ていたとき。
 私と空澄が手を握り合い、そして顔を近づけ合ったところを……っ‼


 そんなところを見られていた。
 それを知ったとたん一気に恥ずかしさが込み上げてきた。


「まぁ、特に自分の気持ちを隠してなかったからな」


 私とは正反対で。
 空澄はケロッとしている。


< 143 / 198 >

この作品をシェア

pagetop