君と見た夢のような世界、それは切ないくらいに澄んで美しく
「あ……っ‼」
そのとき。
突然、私たち五人が身に付けているブレスレットの色が赤から黄に変わった。
ブレスレットの色の説明は惺月さんから聞いている。
ブレスレットの色は赤と黄と緑の三種類。
色は身に付けている人の心の状態を表している。
赤色はかなり深刻な状態。
黄色は少しだけ改善の兆しが見えてきた状態。
緑色は改善の方向に向かっている。
たった今、私たち五人が身に付けているブレスレットの色は赤から黄に変わった。
ということは。
私たち五人の心の状態は少しだけ改善の兆しが見えてきたということになる。
「どうしたんだ?」
私たち五人の声に親父は不思議そうにそう訊いた。
親父には私たち五人が身に付けているブレスレットは見えていない。
もちろん『心が呼吸できる世界』やブレスレットのことは親父に話すことはできない。
だから。
「なんでもない」
何事もないようにそう返答した。
「じゃあ、もう家に入るね。
今日はありがとう」
またすぐに会いに行く。
そう気持ちを込めた。
空澄、凪紗、心詞、響基も『わかった』という気持ちを込めて私のことをじっと見つめていた。
こうして空澄、凪紗、心詞、響基は『心が呼吸できる世界』に戻るため歩き出し。
私も家の中に入って行った。