(旧)この青く澄んだ世界は希望の酸素で満ちている



「……あのね……」


 凪紗の次に心詞(みこと)が口を開いた。


「私も明日、行こうと思ってたの、学校」


 心詞も同じことを思っていた。


「気に入らないことがあるからって
 クラスのみんなを巻き込んで一人を集団無視する。
 そんな卑怯なやり方、やっぱり許せない。
 私、そうした三人の女子に話をしてみようと思う」


 いつも大人しい心詞が今はとても強く凛としているように見える。

 ううん、違うのかも。
 心詞は元々そうなのだ。
 表面は大人しく見えても、芯はしっかりとしているところがある。


 心詞の言葉に私、空澄(あすみ)、凪紗、響基は「成功を祈ってる」と言うと。
 心詞は「ありがとう」と言った。



「……あの……」


 心詞の次に響基が口を開いた。


「僕も明日、行こうかなと思ってたんだ、学校に」


 響基も同じことを思っていた。


「僕もこのままでいいわけがない。
 貸したジュース代は返してもらわないと。
 それから、はっきりと『もうお金は貸さない』と言おうと思って。
 それで僕から離れていくのなら、それだけの関係だったということ。
 そうすることでしか繋がることができない関係なら必要ない」


 いつもおどおどしている響基の力強い言葉。

 響基も必死に変わろうとしている。


 響基の言葉に私、空澄、凪紗、心詞は「よく決意したね。その勇気はすごいと思う。良い結果になることを祈ってる」と言うと。
 響基は「ありがとう」と言った。


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