(旧)この青く澄んだ世界は希望の酸素で満ちている
「……ごめん、彩珠さん。
……利用……していた彩珠さんのことを」
真碧さんが口を開いた。
真碧さんの表情は、申し訳ないという気持ちと気まずさで歪み。
視線は私から逸らしている。
「彩珠さんは議員の娘。
私は普通の会社員の娘。
彩珠さんと繋がれば私の立場を変えることができると思った」
そうか。
真碧さんは、そういう気持ちで私と繋がったんだ。
「だけど、
本当はわかっていた。
彩珠さんと繋がったって
自分の立ち位置を変えることなんてできないことを」
真碧さんは、ちゃんとわかっている。
現実という厳しさを。
「そんな現実にだんだんと腹が立つようになってきて、
正直言って、ただのストレス発散だった。
……彩珠さんがいないときに彩珠さんの……陰口……を言うようになった」
やっぱり真碧さんは、わかっていた。
現実という厳しさを。
ただ、その厳しさをなかなか受け止めることができなかった。
だから私の陰口を言うことで心のバランスを保とうとしていたのだと思う。
「だけど、
どんなに彩珠さんの陰口を言っても全くスッキリしなくて。
それどころか、罪悪感が湧いてきた」
きっと真碧さんは根は悪い人ではない。
だから私の陰口を言うことに罪悪感を抱いたのだと思う。