(旧)この青く澄んだ世界は希望の酸素で満ちている



「……今さら言っても晩過ぎるのはわかっているけど……
 ……今まで本当にごめんね……彩珠(あじゅ)


『彩珠』

 真碧(まみ)さんの口から初めて聞いた。
 私のことを『彩珠さん』じゃなくて『彩珠』と。


 私から視線を逸らしていた真碧さんが、そのとき視線を私に向けた。


「私の方こそ、
 ごめんね……真碧。
 真碧の苦しみに気付くことができなくて」


 真碧は真碧で苦しんでいた。
 私の苦しみとは違う苦しみを抱えてきたんだ。


 私と真碧がそう言い合ったあと。
 加織、桃萌(ともえ)、純菜も「本当にごめんね、彩珠」と言って目に涙を滲ませた。



 やっぱり。
 大切なんだ。
 話をすること。

 そうすることで誤解やすれ違いを確実に減らすことができる。


 これからは、どんなに些細なことでも言葉にするようにしていきたい。


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