(旧)この青く澄んだ世界は希望の酸素で満ちている
「みんなのブレスレットが緑色になったので部屋に来ました」
惺月さんの言葉。
それを聞いて驚いた。
そうしたら、やっぱりみんなも驚いているみたいで目を丸くしている。
そうしている中で凪紗が惺月さんに「これから惺月さんに報告しようと思ってたのに、何でもう知ってるんすか」と言った。
凪紗の言葉に惺月さんは「伝わってくるの。オーラみたいなものがね」と笑顔でそう言った。
「ブレスレットが緑色になった。
それは、あなたたちの心の状態が改善の方へ向かっているということです」
惺月さんの言葉で改めて実感した。
私、空澄、凪紗、心詞、響基の心の状態は改善の方へ向かっている、と。
「あなたたちは自分で自分の答えを探し、
そして見つけ出すことができた。
それによって必ず全てが解決するとは限らないけれど、
それでも、あなたたちが一歩前に踏み出すことができたということなのです」
そうか。
そうなんだよね。
ブレスレットが緑色になった。
それは一歩前に進むことができたということ。
「それと同時に、
あなたたちは今夜で『心が呼吸できる世界』を卒業できることを意味しています」
卒業——。
そうだ。
『心が呼吸できる世界』は、心に大きな悩みや傷を抱えている二十歳未満の人たちが心のリフレッシュ、そして回復するための世界。
だから左腕に身に付けているブレスレットが緑色になった私たち五人は『心が呼吸できる世界』に居ることはできない。
ということは。
この先も『心が呼吸できる世界』に居る惺月さんとは、もう会うことができない……?