(旧)この青く澄んだ世界は希望の酸素で満ちている
「それじゃあ、
ものすごく名残惜しい気持ちでいっぱいだけど、
あなたたちは、そろそろ『心が呼吸できる世界』から出なくてはいけません。
ブレスレットが緑色になって『心が呼吸できる世界』に来たとき、
現実の世界の時間で日付が変わる前に『心が呼吸できる世界』を出ないと、
二度と現実の世界には戻れなくなってしまいます」
惺月さんの言葉を聞いた私たち五人は、そのことにものすごく驚いた。
本当は少しでも長く『心が呼吸できる世界』にいたい。
だけど、そのことにタイムリミットがある。
それは、どうにもならない現実。
今だけではない。
これからも、どうにもならない現実と向き合わなければならないときもある。
だから。
「惺月さん、
大変お世話になりました。
本当にありがとうございました」
私たち五人も名残惜しい気持ちを抱きながら惺月さんにそう言った。
「私は何もしていないわ。
みんなの努力が実ったのよ」
惺月さんは本当に心の大きい人だと改めて思った。
そんな惺月さんに出会えて本当に幸せ者だと改めて感じた。
「それでは惺月さん、
お元気で」
「みんなも元気でね」
惺月さんの言葉に私たち五人は会釈をしてから『心が呼吸できる世界』と現実の世界を繋ぐ出入り口の中に入った。