(旧)この青く澄んだ世界は希望の酸素で満ちている
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凪紗の話。
久しぶりに学校に行った、あの日。
突然、財布を盗まれたクラスメートが凪紗に謝った。
財布を盗まれたというのは自作自演だった、と。
そうした理由は凪紗に対しての嫉妬心からくるものだったらしい。
凪紗は話をするときに『財布を盗まれたクラスメート』のことをそう呼び続けるのもあれだからと言い、そのクラスメートのことを『彼女』と呼ぶと言った。
話の続きに戻る。
凪紗は文化祭のクラスでやる演劇で主役をすることが決まっていた。
将来、役者志望の彼女にとって、それは屈辱でしかなかった。
だから彼女は凪紗の評判が悪くなれば、凪紗は主役から降ろされると思い、凪紗が財布を盗んだことにしようと思ったと言った。
凪紗が財布を盗んだことになって彼女は『やったぁ』と思ったらしい。
凪紗が財布を盗んだことにしようと思ったのは軽い気持ちだった。
だけど凪紗が何日か学校を休んでいるうちに彼女の気持ちは罪悪感へと変化していった。
もしかしたら凪紗が学校を休んでいるのは自分のせいなのではないか。
彼女は悩んだ。
その結果、まずは担任の先生に本当のことを言おうと思った。
そして凪紗が久しぶりに学校に行った日。
朝のホームルームが始まる前。
偶然にも彼女は職員室に行き、担任の先生に全てを打ち明けた。
担任の先生は彼女の言葉に驚いていた。
だけど最終的には冷静になり『神倉に誠意をもって話し謝りなさい』と言ったらしい。
職員室を出た彼女が教室に戻ると凪紗がいた。
まだ時間は早く、教室内には凪紗と彼女の二人しかいなかった。
そのとき彼女は凪紗に『許してもらえないと思うけど、本当にごめんなさい』と言った。