君と見た夢のような世界、それは切ないくらいに澄んで美しく



 ❀ ❀ ❀


 響基の話。



 久しぶりに学校に行った、あの日。

 響基は勇気を出して話をした。
 響基と一緒に行動しているクラスメートの男子三人に。
『今まで貸したジュース代、返して』と。

 響基がそう言ったとき男子三人は『なんのこと?』とごまかしていた。
 だけど、そのあと響基は『さんざんジュース代を借りておいて酷いじゃないか‼』と教室中に聞こえるような大声で言った。

 そのときクラスメートたちは一斉に男子三人のことを冷ややかな表情(かお)で見ていた。

 どうやらクラスメートたちは男子三人が響基にジュース代をちょくちょく借りていたことに気付いていたらしい。
 だけどクラスメートたちも男子三人に注意をする勇気はなかったのだそう。

 男子三人は参ったような表情(かお)をして響基に『今までごめん。少しずつ返していくよ』と言った。


 そのとき。
 響基の左腕に身に付けているブレスレットが緑色になった。



 そして、その後。
 男子三人からジュース代の全額返金も済み、今まで通り一緒に行動している。

 一つだけ今までと違うのは、男子三人から『ジュース代、貸して』と言われなくなったこと。


 やっぱり勇気を出してよかった。
 響基はしみじみそう思った。



 これが響基の近況報告。


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