(旧)この青く澄んだ世界は希望の酸素で満ちている
「この部屋に入る前に
また説明させてね」
そう言った惺月さんは少しだけ真剣な表情をしている。
「『心が呼吸できる世界』と現実の世界が繋がっているのは
現実の世界の日の入りから日の出までなの」
えっ。
「だから、現実の世界の日の出が来る前に『心が呼吸できる世界』を出て
日の入り後にまた『心が呼吸できる世界』に来るということになるの」
そういう、ことか。
「……つまり、ずっと『心が呼吸できる世界』に居続けることはできなくて、
現実の世界の日の出から日の入りの間は
現実の世界に戻らないといけないということなんですね」
そうか。
ずっと居続けることができないのか。
『心が呼吸できる世界』に。
そのことを知ったら。
少しだけ落ち込んだ。
「そうね、そういうことになるわ」
だけど。
それと同時に。
「あの、訊いてもいいですか」
気になることもあった。
「ええ、いいわよ」
だから。
「現実の世界で日の出になったときに
『心が呼吸できる世界』から出ることができていなかったら、
どうなってしまうのでしょうか」
勇気を出して。
訊いてみることにした。