君と見た夢のような世界、それは切ないくらいに澄んで美しく
「『心が呼吸できる世界』の存在は充分過ぎるほどありがたく感じている。
それなのに、私らがいるこの部屋の宿泊費と食費は全て無料。
なんか良心的過ぎて逆にどうしていいのかわからなくなってな」
確かに。
そうだよね。
『心が呼吸できる世界』にいることができるだけで充分ありがたく感じている。
それなのに、宿泊費と食費も無料だなんて。
神倉さんが言うように感謝を通り越して逆にどうしたらいいのかわからなくなってしまう。
「こんなにも良くしてもらっているのに、このまま何もしないなんてできない、
『心が呼吸できる世界』と惺月さんにお礼がしたいと思った。
だから一昨日、この部屋のメンバーと話し合った。
そうしたら全員同じことを思っていたことがわかってな。
だから部屋のメンバー全員で惺月さんのいる受付のところに行ったんだ」
神倉さんの言葉に那覇や佐穂さんや鈴森くんも頷いている。
「このまま何もしないのは申し訳なさ過ぎる。
そんな気持ちを込めて惺月さんに話したんだ。
『私たちに何か手伝えることはありませんか』って。
そうしたら惺月さん、私らが元気になるだけで充分って言ってくれて」
神倉さんの話を聞いたら。
もっともっと『心が呼吸できる世界』と惺月さんに感謝の気持ちでいっぱいになった。