（旧）この青く澄んだ世界は希望の酸素で満ちている

　親父が私にそんなことばかりしてくる。
　その理由は情けないくらいにはっきりとしている。

　それは。
　私が受験に失敗し。
　姉と兄が通っている超名門のエスカレーター式の学校に通えていないから。


　私には双子の姉と兄がいて。
　その二人は超名門のエスカレーター式の大学にいる。

　一方、私は。
　受験とは関係ない幼稚園、小学校、中学校に通った。

　高校も普通の公立高校に通っている。

　私としては超名門のエスカレーター式の学校でなくても十分満足している。


　だけど。
　親父はそれでは納得していなく。
　私が第一志望の超名門のエスカレーター式の学校に通えなかったことが許せないらしい。

　いや、違う。
　第一志望とはいっても。
　それは私の気持ちではなく親父の気持ち。

　親父が私を姉や兄と同じ学校に通わせたかっただけ。

　私は特にそのことにこだわっていなかった。


　そんな私の気持ちに親父は気付いていたのだろう。
　だから余計に私に対して頭にきたのだと思う。


　受験に失敗する前まで。
　それまでは親父は私にも優しかった、ような気がする。
　小さい頃のことだから記憶が曖昧だけれど。


　そして、受験に失敗(それ)以降。
　親父は私のことを避けるようになり冷たくなった。

　それだけではない。
　私が中学生になったあたりから避けられるだけではなく侮辱という言葉の暴力を浴びせるようになった。