君と見た夢のような世界、それは切ないくらいに澄んで美しく
こうして私は。
神倉凪紗さんのことを凪紗。
佐穂心詞さんのことを心詞。
鈴森響基くんのことを響基。
そして。
那覇空澄のことを……空澄……と呼ぶことに。
……空澄……に関しては。
小学生の頃からずっと『那覇』と呼んでいた。
だから『空澄』と呼ぶことが慣れない。
それだからか、なんだか変な感じがする。
「それじゃあ、改めてよろしくな」
お互いのことを下の名前で呼び合った後。
神倉さ……凪紗がそう言った。
私、空澄、心詞、響基も「改めてよろしく」と言い合った。
そのとき。
改めて見た。
凪紗、心詞、響基。
そして空澄。
みんなそれぞれにタイプが違う。
みんな、ちゃんと個性がある。
そんなみんなと同じ部屋で過ごす。
それは。
全く嫌ではない。
それどころか。
少しだけ楽しみにも感じる。
これからどうなるのか。
それはわからない。
だけど。
このルームメイトとなら。
お互いを思いやりながら過ごすことができる。
家庭や学校の環境に苦しめられ精神状態が限界になってしまった私でも、この部屋にいるときは心穏やかでいられる。
それは。
凪紗、心詞、響基、そして空澄のおかげ。