(旧)この青く澄んだ世界は希望の酸素で満ちている



「……っ⁉」


 ドアを半分以上、開けた。


 そのときに入ってしまった。
 私の視界に。


「こんな時間まで一体どこに行っていたんだ‼
 母さんから『友達の家に泊まる』ということは聞いていたが
 本当に友達の家だったのか⁉」


 それは——。


「それに昨日、学校に行っていないそうじゃないか⁉
 それは、どういうことなんだ‼」


 親父——。


 玄関のドアを開けたすぐのところに。
 立っていた。
 腕組みをした親父が。


 親父が言葉を発したとき。
 怒りからくるのか、声のトーンは怒鳴り気味で。
 表情(かお)は目を吊り上げ。
 それは、まるで鬼のよう。



 怖い——。

 正直なところ。
 こんな親父を目の前にしたら。
 恐怖のあまり全身は震えそうになる。


「どっ……どこだっていいでしょ」


 だけど。


「それから学校に行かなかったことだって関係ないでしょ」


 言わずにはいられない。


 黙ったまま。
 したくない、そんなこと。


< 69 / 198 >

この作品をシェア

pagetop