君と見た夢のような世界、それは切ないくらいに澄んで美しく



 時刻は十九時を回った。


 この時期は、その時間になっても、まだ明るさは残っている。


「そろそろ夕飯、買いに行かなくちゃ」


 そう思い、ベンチから立ち上がる。


 そのまま公園(ここ)の近くにあるコンビニへ向かう。



「……ん?」


 そのとき。


「……なんだろう、あれ」


 歩き始めて数分。

 公園(ここ)は結構広い。
 なのでまだ園内にいる。


 今、いるところ。
 そこは遊具があるところではなく、木や花や草がたくさんある広場。

 周りを見渡したけれど私以外、人は見当たらない。


 見えているのは。
 木や花や草。

 そして——。


「……光ってる……」


 私が立っている。
 そこから二~三メートル離れたところに———。


 直径二メートルくらいのモヤモヤとした真っ白な光が。



「どうして……」


 こんなところに光が……?


 そう思いながら。
 一歩、また一歩。
 足を前に進める。


 得体の知れない光。

 そこに近づく。

 そのことは恐怖ではない。
 と言えば噓になる。


 怖い。
 本当は。

 真っ白な光(そこ)に近づいたらどうなってしまうのか。
 それは全くわからない。

 もしかしたら真っ白な光(そこ)に近づいたとき。
 身体が真っ白な光(その)中に吸い込まれ。
 その瞬間、身体()が消えてしまうかもしれない。


 そんな恐怖が頭の中をグルグル回っている。

 それなのに。
 どうして。
 止めることができないのだろう。
 一歩一歩進んでいく足を。



 そんな恐怖と闘い。
 ついに真っ白な光の目の前に着いた。


「……やっぱり、
 幻覚……ではない、よね……?」


 目の前で見ると。
 より迫力があり圧倒されそうになる。

 それだけでなく。
 真っ白な光が放つ光のエネルギーが強く。
 その為、目を開けていることが難しい。

 思わず目を覆うように手を前にかざす。



「……見えてる、のか……?」


 え……?


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