君と見た夢のような世界、それは切ないくらいに澄んで美しく
「あっ」
そのとき。
思い出した。
「私、約束してるの」
とはいっても。
完全に忘れていたわけではないのだけど。
「約束?」
空澄はそう言いながら掴んでいる私の腕をそっと離した。
「うん。
公園でお母さんから着替えを受け取ることになってるの」
「何時ごろ?」
「お母さんと連絡し終わったのが二十分くらい前だから、
着替えを受け取るのは四十分後くらいかな。
お母さんが家を出るころに、
もう一度メッセージを送ってくれるみたいだけど」
「そうなのか。
じゃあ、ここで俺も一緒に待つ」
え……っ⁉
「そっ……そんなの悪いよ」
家に来てと言ってくれたり。
一緒に待つと言ってくれたり。
私は空澄にこんなにも良くしてもらえるような。
そんなこと何もしていない。
「全然。
全く悪くない。
むしろ彩珠と一緒に待ちたい」
「……っ⁉」
それなのにっ。
そんな言葉を……っ。
あっ……空澄っ⁉
今の言葉。
それは、どういうふうに受け取れば……。