君と見た夢のような世界、それは切ないくらいに澄んで美しく



「……今、何時だろう」


 そう思ったとき、部屋の壁にかかっている丸い時計が目に入った。

 時刻は十五時を回ったところだった。


「……そういえば、空澄(あすみ)は……」


 まだ眠っているだろうか。


「とりあえず、
 起き上がって着替えよう」


 寝起きでぼーっとしていた頭や身体。
 それらが、だいぶスッキリしてきた。


 まずはベッドから起き上がり。
 お母さんから受け取った着替えを取り出し、それに着替える。


「さて、次は……」


 歯磨きや顔を洗いたい。


 そう思い、静かに部屋を出た。

 静かにしたのは。
 空澄が自分の部屋にいて寝ているかもしれない。
 そのときにドアの開閉の音で起こしてしまったら申し訳ない。

 だから廊下も静かに歩き洗面所に入る。



 そして歯磨きや洗顔などを済ませ洗面所を出る。


彩珠(あじゅ)


 そのとき。
 後ろから空澄の声が聞こえ振り向くと。


「ちょうど今、彩珠のところに行こうとしてたんだ」


 空澄は穏やかな表情(かお)でそう言い。
「今、大丈夫か」と訊いたから。
「大丈夫だよ」と返答した。

 すると空澄は「それならダイニングルームに来いよ」と言い。
 私は空澄と一緒にダイニングルームへ向かう、と。


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