君と見た夢のような世界、それは切ないくらいに澄んで美しく
「……あっ……空澄……っ?」
なぜなら。
空澄が私の顔をじっと見つめているから。
「どうした、彩珠」
「あっ……あの……
なんで……見てるの……?」
「あぁ、
なんで、って……
彩珠の口に合うかな、って思って」
なるほど。
確かに相手の口に合うかどうかは気になると思う。
「あっ……あのさっ」
だけどね、空澄。
「……食べづらい……んだけど……」
そんなにも見つめられると。
「あぁ、そうか。
じゃあ、目を閉じれば大丈夫か?」
えっ⁉
「なっ……なんでそうなるのっ?
同時に食べればいいじゃないっ」
空澄が気遣いでそうしている。
それは、わからないわけではない。
だけど。
苦手だから、私はっ。
食べるところを見つめられるのはっ。
「彩珠、照れてるのか。
可愛いな」
「……っ‼」
かっ……可愛い、なんてっ。
「あっ……空澄でも、
そんなふうにからかうことあるんだっ」
そう。
きっと、そう。
空澄はからかっているんだ。
私のことを。
『可愛い』
その言葉を言う。
そのことによって、私がどういう反応をするのか。
「からかう?
なんで俺が彩珠のことをからかうんだ?」
え……。
ということは……。
『可愛い』
あの言葉は。
空澄の本音?
そう思ったら。
顔に血液が集中しているかと思うくらいに顔が熱くなってきた。
そんな私のことを見ている空澄は「真っ赤になって可愛い」と言った。
空澄のその言葉を聞いたら。
もっともっと顔が熱くなってきた。