君と見た夢のような世界、それは切ないくらいに澄んで美しく
スーパーに着き、店の中に入る。
空澄はメモ用紙に記入している食材をテキパキとカゴの中に入れていく。
「いいなぁ」
そのとき。
微かに聞こえた。
四歳か五歳くらいの女の子の声が。
「わたしも、おおきくなったら
おねえちゃんみたいにカッコイイかれしほしいな」
聞こえたと思ったら。
そんなことを言っている。
『お姉ちゃんみたいに』
『カッコイイ彼氏』
いったい誰のことを言っているのだろう。
そう思い、女の子の声がした方をさりげなく見る。
えっ?
その瞬間。
驚き過ぎて固まってしまった。
その女の子は。
なんと。
私と空澄のことをじっと見つめている。
気のせいではない。
確実に見られている。
私と空澄は。
その女の子に。
空澄は買い物に夢中になっていて、そのことに全く気付いていない。
気付いているのは私だけ。
どうしよう。
こういうときは……。