目隠し、はずして
「ぺっと……?」

何かの聞き間違いかと思って聞き返すと、大和くんは、「そう。俺のものになるなら助けてやってもいい」と、続けて言った。

「千春ちゃん、こんなやつ無視して行くよ」

掴まれた手首が再び強く握られ、Yさんに強引に引かれる。

「ちょっと待ってください!」

踏ん張ろうとするも、Yさんはズンズンと歩くスピードを緩めてはくれない。それどころか、聞く耳も持たずに話し始めた。

「なんだあの男、ペットって。千春ちゃんのことを都合よく使う気だ。千春ちゃんはまだ誰にも穢されていない天使なのに。ようやく俺にふさわしいフィアンセが見つかったっていうのに、水を差しやがって……」
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